このような時はご相談ください

一般皮フ科イメージ
  • 皮膚がかゆい、皮膚が赤い、ブツブツができた
  • 皮膚に痛みがある
  • 頭皮がかゆい、ふけが出るようになった
  • 肌が乾燥する、粉をふくようになった
  • 唇に水ぶくれができている
  • 食事のとき、口の中や唇が痛い
  • 髪の毛が抜ける
  • ワキ汗が気になる

皮膚科専門医が、正しい診断に基づいた治療・処置・手術を行うことで、早くきれいに治すことを目指します。

よくある皮膚の疾患

湿疹

湿疹とは、かゆみをともなう皮膚の炎症の総称のことで、かゆみを伴う紅み、隆起したブツブツ、水ぶくれ、じくじく、カサカサなど様々な性状を示します。
症状は数日から1週間以上続きます。

原因

  • 湿疹が出来やすい体質(敏感肌・乾燥肌)、アレルギー、体調不良
  • ストレスや寝不足
  • 金属などの刺激物の接触
  • 皮膚表面がこすれる
  • 内服薬などにより体の内側から起こる

などがあります。

治療

湿疹の出来はじめは、一次的なアレルギー反応なので外用剤を1週間程度使えば改善します。症状が慢性化してくると、外用剤を使いしっかりと治療していく必要が生じます。自己判断で中断すると、逆に長引くこともあるので、皮膚科専門医の判断のもと治療するのが、治る近道です。

かぶれ

何かしらの原因物質によってかぶれた箇所が痒くなり、次第に赤くなってきます。小さなブツブツや水ぶくれができることもあります。

一次刺激性接触皮膚炎

刺激物による強い刺激作用によって生じるかぶれのことです。
刺激物…毒草、せっけん、洗剤、ガソリン、セメントなど
刺激物が接触した部位とその周辺に発症します。

アレルギー性接触皮膚炎

アクセサリー、ゴム、化粧品など身近なものや、時計やブレスレット、ゴーグルなどに使われるクロム、ニッケル、コバルトなどの重金属でかぶれることがあります。
特定の物質に過敏に反応する人にだけ起こるアレルギー反応によってかぶれが生じます。
⇒原因を特定するためにパッチテストを行います。
一次刺激性と同様に、刺激物が接触した部位とその周辺に発症します。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は現代病とも言われ、年々患者数が増えています。
「湿疹・皮膚炎」と「かゆみ」を慢性的に、良くなったり悪くなったりを繰り返します。

原因

フィラグリンという遺伝子変異により、皮膚のバリア機能が低下し、IgEを産生しやすい素因を持った状態を基礎に、後天的に様々な刺激因子が作用して慢性の湿疹・皮膚炎を形成します。また患者さんの多くの方がアトピー素因をお持ちです。
アトピー素因:家族歴、アレルギー性結膜炎・鼻炎などの既往歴

悪化因子

ストレス、欧米化した食生活、不規則な生活スタイル、ダニ・ハウスダスト・真菌などの環境因子、汗、かきむしったり洋服ですれたりなどの物理的刺激などが考えられています。

検査

ダニ・ダスト、ペット、花粉、真菌などに反応しやすい体質がないか、血液検査でチェックすることが可能です。また、血清TARC値は病勢を反映するので、適宜測定することにより、治療継続が必要なのかなどの判断材料に用います。

他科との連携

アトピー性皮膚炎の患者さんは、掻破で目に傷をつけやすかったり、白内障に早期になることもあるので、眼科での定期検診が必要です。

治療

  • 外用薬
  • 内服療法
  • 紫外線療法(中波紫外線:ナローバンドUVB・エキシマライト)
紫外線療法(中波紫外線療法:ナローバンドUVB)について詳しくはこちら
三面鏡型紫外線治療器画像 ターゲット型紫外線照射装置(エキシマライト)画像

マラセチア毛包炎

症状

顕微鏡検査イメージ

赤く、少し光沢のあるぶつぶつが毛穴に現れます。胸、背中、肩、腕に好発します。
かゆみは軽度の場合がほとんどです。
時期…暑くなって汗ばむ時期に多く、男女を問わず10代から中年層まで幅広い年齢層で見られます。
症状を見る限り、ニキビととてもよく似ていますが、ニキビとは菌の種類が違うため注意が必要です。顕微鏡検査にて容易に診断が可能です。

「マラセチア」という真菌(カビ)の異常繁殖によって引き起こされる毛穴の炎症です。
マラセチアは健康な皮膚表面に常在しているため、誰にでも発症する可能性があります。

治療

抗真菌薬を1~2か月外用すると、多くの場合で症状は改善されます。
ただし、いったん治癒しても、皮脂や汗で清潔が保たれていないと再発することがあります。

脂漏性皮膚炎

症状

  • 皮脂の分泌の多い、頭皮や顔(特に鼻の周りなど)に起こりやすく、他には耳の後ろ、わきの下や太ももの付け根などにも起こります。
  • かゆみをともない、赤くなったり、皮膚が荒れてカサついたり、はがれてくることがあります。
  • 頭にできた場合、皮膚がはがれてくるためフケ症と勘違いしてしまう方も多いようです。
  • 放っておくと皮脂が酸化されて、加齢臭のようなニオイを放つ原因ともなります。
  • 新生児から生後3か月くらいまでの赤ちゃんと、思春期以降の成人に多く、男性ホルモンが皮脂分泌を促進することから、男性に多くみられます。

原因

赤ちゃん

皮脂の分泌が盛んなことと、毛穴が未発達なため分泌された皮脂が毛穴に詰まりやすいことがあげられます。

成人

すべての病因がはっきりとしていません。原因の一つとしてマラセチアというカビの一種が繁殖することで炎症が起こっていると考えられています。
マラセチアはヒトの皮膚に普段から存在する常在菌ですが、皮脂を好み、皮脂が多い環境下で異常増殖すると、その代謝物が肌に炎症を引き起こすと考えられています。
他の原因としては、ストレス、ビタミンBの不足、不適当な洗顔や洗髪(すすぎ不足や洗いすぎ)、生活習慣の乱れがあります。ホルモンバランスの乱れなどにより、女性にも発症します。

治療

成人の脂漏性湿疹は、重症化して初めて治療に乗り出すケースが多いのですが、慢性化し再発を繰り返すことも多いため、マラセチアの増殖を抑えるための抗真菌薬が基本となります。
炎症を抑えるためのステロイド外用薬と、かゆみの強い場合は抗ヒスタミン剤(内服)やビタミン剤(内服)を適宜使用していきます。

薬による治療と並行して、患者さまご自身での日ごろのケアが大切です。

  • 皮膚の清潔を心がけ、毎日やさしく、かつしっかりと洗う
  • ビタミンB2やB6を取り入れつつ、バランスのよい食生活をこころがける
  • ストレスや過労に注意し、規則正しい生活と、十分な睡眠をとる
  • 紫外線を避ける

蕁麻疹(じんましん)

蕁麻疹(じんましん)とは、皮膚の一部に赤み「紅斑(こうはん)」を伴う皮膚の盛り上がり「膨疹(ぼうしん)」ができ、しばらくすると消えてしまう病気のことをいいます。激しいかゆみを伴うことが多くあります。

症状

最初に蚊に刺されたときのような、赤いふくらみが現れ、だんだんと広がったり、それらが体のあらゆるところに出てきたりします。かゆみを伴い、皮疹は出たり消えたりするのが特徴的です。数分から数時間で消えることがほとんどですが、半日から一日程度続くこともあります。
また、まれに、まぶたや唇などが腫れたり、気道や腸の粘膜が腫れ、息苦しさや下痢などの消化器症状を起こしたりすることもあります。
そのような場合は大変危険な状態ですので、すぐに病院を受診しましょう。

蕁麻疹には、アレルギー性のものと、非アレルギー性のものがあります。

アレルギー性の蕁麻疹

  • 食べ物
    魚介類、肉類、卵、乳製品、穀類、野菜、食品添加物
    *特に、小麦、ソバ、乳製品、卵、落花生は、五大アレルギー成分といわれています。
  • 植物・昆虫など
    蕁麻(じんま)、ゴム、ハチなど
  • 薬剤(アレルギー性薬疹)
    抗生物質、解熱鎮痛剤、咳止めなど、薬の内服や注射をすることにより生じます。
  • 蕁麻疹を起こしやすい薬とは?
    消炎鎮痛薬のアスピリン、インドメタシンなど。悪化因子となることが多く、蕁麻疹がひどくなりやすい。

最も怖い『アスピリン不耐性』

喘息や鼻炎、蕁麻疹などが重症化しやすく、アナフィラキシーショックや血管性浮腫など、命の危険におよぶことがあります。
蕁麻疹や喘息の既往歴がある人は、カゼ薬など消炎鎮痛薬を服用する場合には細心の注意が必要です。

抗生物質

ペニシリン系の抗生物質…蕁麻疹性の薬疹では30%を占めているという報告があります。

もし薬剤で蕁麻疹が起きたら?

蕁麻疹が出た場合はすぐに使用を中止する。
表面的には蕁麻疹特有の赤い発疹ですが、内臓や気管などにも蕁麻疹が発生していることもあります。

直ちに病院を受診する

薬疹の悪化、呼吸困難、血圧低下などのアナフィラキシーショック症状から命の危険性を避けるために直ちに救急病院を受診しましょう。

次回からそのお薬は使用しない

一度薬疹を発症させた薬は使用しないようにしましょう。(処方量が少ないとされる市販薬でも大変危険です)代替の薬は必ず医師や薬剤師へ相談しましょう。
当クリニックでエピペンの処方ができます。

非アレルギー性の蕁麻疹

物理的刺激

摩擦(下着によりこすれる)、圧迫(買い物カゴやバッグの持ち手によって受ける圧迫など)熱さ、寒さ、振動(マッサージ器など)、日光など

入浴や運動による発汗など

血液疾患、膠原病などがある人、心身にストレスを強く受けている人では、運動や発汗を刺激として、蕁麻疹になることがあります。

非アレルギー性の蕁麻疹になってしまったら

摩擦や圧迫、振動などの刺激を与えないようにしたりしましょう。
血行がよくなると、蕁麻疹が悪化しやすくなります。
何より、蕁麻疹になった原因を見つけて、それを取り除くことが大切です。

治療の中心となるのは、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの内服薬です。
薬を飲むと大部分の人は数日で症状が治まりますが、医師の指示がある間は飲み続け、徐々に量を減らしていくことが大切です。

軽い蕁麻疹であれば、かゆみ止め(抗ヒスタミン薬など)で様子をみますが、激しいかゆみがあって我慢できないなど症状が強い場合には、 かゆみをやわらげる作用が強いステロイド外用剤を処方することもあります。

過労やストレス、睡眠不足なども、蕁麻疹を起こしやすくする誘因となります。
日頃から規則正しい生活を心がけ、バランスのよい食事を取ることも蕁麻疹の予防には大切です。 血行をよくするお酒や激しい運動、湯船に長時間入ることなどは控えめにし、皮膚を摩擦や圧迫、振動などで刺激しないようにするなど、蕁麻疹の原因になるものは、できるだけ避けましょう。

白癬(水虫、タムシ)、体部白癬

皮膚糸状菌というカビによって生ずる感染症で、病変の部位により、足白癬(あしはくせん)(水虫)、爪白癬(つめはくせん)(爪の水虫)、手白癬(てはくせん)(手の水虫)、体部白癬(たいぶはくせん)(ゼニたむし)、股部白癬(こぶはくせん)(いんきんたむし)、頭部白癬(とうぶはくせん)(しらくも)、ケルスス禿瘡(とくそう)などに分類されます。

【白癬菌】
ケラチンという蛋白を栄養源に生きているカビのことです。
ケラチンが多く存在する場所であればどこにでも感染することができ、体の中でケラチンが多い場所は皮膚の表面を覆う角層(垢となって落ちる場所)なので、白癬は皮膚の表面に病変を作ります。角層が変化した毛や爪には、白癬菌が感染することもあります。

原因

  • 感染の機会が多い(公衆浴場やプール、スポーツジムなど)
  • 高温多湿などの環境因子
  • 不潔、多汗などの皮膚の問題
  • 長靴・ブーツ・安全靴の着用などの生活習慣 など

症状

環状の紅斑(こうはん)が出る、中心部は比較的軽快傾向なので褐色調となり、辺縁は炎症が強く、小水疱(しょうすいほう)や丘疹(きゅうしん)が見られます。
白癬はかゆいというイメージがありますが、かゆくないこともあります。

検査
皮膚真菌検査イメージ

顕微鏡を使用した「皮膚真菌検査」を行います。ピンセット、ハサミ、メスなどを使って、皮膚の表面をこすり、はがれ落ちた皮膚の角質片を顕微鏡で観察します。この検査によって、特徴的な菌要素を検出し、菌の種類を特定することにより診断します。

治療

外用薬

白癬菌に対して抗菌力をもつ、抗真菌薬を使用する。

内服薬

広範囲、難治性、再発性の症例では内服薬が使われることがあります。

癜風(でんぷう)

癜風菌(マラセチア・ファーファー)による皮膚の真菌症です。

症状

  • 小児から老人に発症しますが、20〜40代の青壮年に好発し、男性にやや多くみられます。
  • 好発部位は背部、胸部、頸部(けいぶ)、上腕、腋窩(えきか)などで、小児では顔面に生じることがあります。
  • 細かい鱗屑(りんせつ:皮膚表面からはがれかけている角質)が付着する淡褐色斑(たんかっしょくはん:黒色癜風)あるいは脱色素斑(白色癜風)です。
  • 春から夏にかけて発症および悪化しやすく、自覚症状はほとんどないか、あっても軽度のかゆみくらいです。
  • 発症初期、急性悪化時に軽度の浮腫、発赤を伴うことがあります。
  • 白癬などの皮膚真菌症と違い、ほかの人へ感染することはほとんどありません。

原因

皮膚の常在菌の癜風菌が、高温、多湿の環境下などで多汗により増殖、形態変化(菌糸形になる)して発病します。
基本的には汗かきの元気な人に生じる皮膚病です。肥満なども誘因となります。

検査と診断

白癬と同じように顕微鏡で検査して菌糸形の癜風菌を検出して行います。

治療

外用薬

癜風菌に抗菌力のあるイミダゾール系が多く使われます。

内服薬

部位が広範囲で外用が難しい場合はイトラコナゾール
約2週間で菌は陰性化することが多いのですが、皮膚の常在菌であるため、再発率が極めて高い疾病です。

疥癬(かいせん)

極めて小さなダニ「ヒゼンダニ」が皮膚の角質に寄生することで、人から人へと感染する病気です。
最近では介護保険施設や老人ホームなどの高齢者施設での集団感染が増え、高齢者だけでなく、介護者にも感染するようになり問題となっています。

*ヒゼンダニ
肉眼では見えないほど極めて小さなクモに似たダニです。人間の体温の温度を非常に好み、人間の肌から肌に感染していきます。 洋ナシのような形をしていて4対の短い脚が特徴です。また背中には無数の突起があります。

症状

通常疥癬と角化型疥癬
患者が健康であれば通常疥癬が発症しやすく、高齢者など免疫力が低下している患者の場合は角化型疥癬が発症しやすいとされています。
角化型疥癬は通常疥癬に比べて角化型疥癬は寄生するダニの数が多く感染力が強くなるので、角化型疥癬の場合には隔離治療が必要になります。

通常疥癬の症状

感染してから約1カ月から2カ月間潜伏してから症状を現します。かゆみが非常に強く、丘疹、結節、疥癬トンネルという皮膚症状がおこります。
疥癬トンネルは疥癬だけに起こる症状です。通常疥癬は首より上には発症しません。

角化型疥癬の症状

角化型疥癬は摩擦を受けやすい場所に多く発症します。かゆみや赤みには大きな差があり、非常に強いかゆみが生じることもあれば、全く感じないケースもあります。
角化型疥癬は首や頭、耳にも発症する場合があります。特に高齢者や感染症および悪性腫瘍などの基礎疾患患者さまやステロイドや免疫抑制の薬を使用していて、免疫力が低下している方に発症しやすいと言われています。

疥癬の症状は湿疹と混同されやすく、早期治療ができない場合があります。
清潔にしていても感染する可能性はあるため、注意が必要です。

治療

外用薬

ヒゼンダニを死滅させるスミスリンや、クロタミトン など。

内服薬

イベルメクチン 間隔を空けて2回服用するだけで多くの場合で治療が可能です。
内服薬と外用薬を並行して使用することで効率よく治療を進めていくことが可能です。

グリーンネイル

身の回りにある常在菌のひとつ、緑膿菌に感染することにより引き起こされます。
普段は害を及ぼさない緑膿菌ですが、身体の免疫力が落ちていたり、爪に何かしらの病気があって傷ついていたり、水仕事をよくされる方で爪が常に湿っていて軟らかい状態の場合などでは感染しやすくなります。

ジェルネイルは、従来のネイルに比べて持ちがよいため人気がありますが、長く着けるということは、爪の成長によりジェルネイルと爪との間に隙間ができやすいという欠点があります。その隙間には水がたまりやすいため、細菌が繁殖しやすい環境となりますので、ジェルネイルをされる方は特に注意が必要です。

痛みはなく、最初は黄味がかった色ですが、進行するにつれて緑色となり、徐々に濃い緑色、さらに暗緑色へと変わっていきます。

爪カンジダ症などの病気にかかっている場合も、グリーンネイルが合併しやすいとされています。

予防

爪の変色に気づいたら、つけ爪やマニキュアの使用をやめましょう。そして、緑色に変色した爪とその周囲も清潔に保つこと。
水仕事や、手洗い・入浴後は、濡れたまま放置せず、しっかり乾燥させることが大切です。

治療

爪カンジダ症などの爪疾患の治療と、患部の乾燥化を行います。

外用薬

爪が伸びて緑色に変色した部分がなくなるまで半年ほど、抗真菌薬を毎日塗り続けます。

内服薬

症状により血液検査などで状態をよく見極めた上で、抗真菌薬の内服薬を使うケースもあります。

帯状疱疹

ウイルスによる感染症で、原因は水痘・帯状疱疹ウイルスです。このウイルスに生まれて最初に感染したときには、帯状疱疹ではなく、水ぼうそうとして発症します。
ほとんどの方は、子どもの頃に水痘・帯状疱疹ウイルス感染し、水ぼうそうに罹っています。
帯状疱疹の症状は皮膚がピリピリとした感じや鈍痛で始まることが多く、痛みを感じた部位に「発疹」が出ます。
帯状疱疹という名前は、神経に沿って赤い斑点(疱疹)が皮膚に帯状にできることに由来しています。

「免疫」が弱まると帯状疱疹に

私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物を排除する「免疫」システムが備わっており、水ぼうそうもこの「免疫」によって治ります。
しかし、治ったあと水ぼうそうのウイルスは完全になくなるわけではありません。加齢やストレスなどにより免疫力が低下すると、水ぼうそうではなく『帯状疱疹』として発症することがあります。
ウイルスが皮膚へ攻撃することにより水ぶくれなどのブツブツが現れるとともに、神経への攻撃によって強い痛みが起こります。帯状疱疹は体の表面だけの病気ではなく、体内の神経にも深く関係している病気なのです。

帯状疱疹は誰でも罹る可能性のある、ごく一般的な感染症です。
帯状疱疹は「免疫」が弱まると発症する病気なので、体力が低下してくる50歳代以上の方に増加します。
また、水ぼうそうのウイルスに対する「免疫」は、水ぼうそうにかかってから概ね20年くらいすると低下してくるため、 近年のストレス社会や慢性的な疲労を抱えている方が多い、20~30歳代の若い患者さんも珍しくありません。

帯状疱疹に特に注意が必要な方

  • ① 50才以上の方
  • ② 糖尿病や膠原病、ガンなどの治療中で免疫低下のリスクのある方

帯状疱疹の原因である水ぼうそうのウイルスには、ほとんどの人が感染していますので、帯状疱疹は誰でも罹る可能性のある、ごく一般的な感染症です。

  • 一生のうち6~7人に1人がなるといわれています。
  • 女性での発症率がやや高い。
  • 水ぼうそうとは反対に夏に多く冬に少ない。

という傾向があります。

治療法

  • ウイルスに対して・・・抗ウイルス薬
  • 痛みに対して・・・消炎鎮痛薬
  • 水疱がつぶれて細菌感染した・・・抗菌薬

たいていの方は、約1か月で軽快します。

帯状疱疹の予防接種

帯状疱疹はワクチンによる予防が可能です

当クリニックで帯状疱疹の予防接種を受けていただけます(自費診療となります)

  • 一度でも帯状疱疹を患ったことがある方
  • 覚えていないほど、小さい頃に水ぼうそうに罹った方
  • 乳幼児と同居されている方(帯状疱疹の患者さんから、水ぼうそうに罹ったことのない乳幼児に、水ぼうそうとしてうつってしまう場合があります)

この機会に一度接種されてみてはいかがでしょうか。
一度受診いただいた上で接種の予約を取らせていただいております。

100パーセントではありませんが、ワクチンを摂取することで、帯状疱疹を予防または症状を軽くすることが出来ます。

ワクチンを受けると帯状疱疹後神経痛になる可能性を65%も減らすことができます。

帯状疱疹ワクチン接種を希望される方へ

当クリニックでの帯状疱疹ワクチンは2種類あり、お選びすることが可能です。

ご予約が入ってから発注するため、お日にちをいただいております。

①【ビケン】 田辺三菱製薬 ¥8,800(税込み)1回のみ接種

乾燥弱毒性水痘ワクチン(生ワクチン)
皮下注射で1回の接種となります。
本剤は生ワクチンのため、他の種類の生ワクチン(注射、経口含む)とは、27日以上あけて下さい。
※生ワクチン→注射:麻しん風しん混合、BCG、おたふくかぜなど
経口:ロタウイルスなど
不活化ワクチンは同日接種が可能です。
コロナワクチンは前後2週間あけて下さい。
※不活化ワクチン→ヒブ、B型肝炎、4種混合、日本脳炎、インフルエンザなど

②【シングリックス】 グラクソ・スミスクライン 1回¥22,000(税込み)2回接種

帯状疱疹ワクチン(不活化ワクチン)
筋肉注射で2回の接種となります。
50歳以上の方のみ対象となります。
※1回目の接種から3か月程度経過したら2回目の接種希望の確認をお電話させていただきます。
1回目接種後2か月以降6か月以内で2回目の接種を受けて下さい。
本剤は不活化ワクチンのため、他のワクチンと同日接種が可能です。
コロナワクチンは前後2週間あけて下さい。
シングリックスは50歳以上を対象としています。

禁忌

※妊婦、妊娠している可能性のある方、授乳中の人
※副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤などの治療を受けており、明らかに免疫抑制状態の人
※水痘、帯状疱疹を予防するワクチンに含まれる成分でアレルギーを起こす恐れのある人
※輸血またはガンマグロブリン製剤の投与を受けた人は、3か月以上開けていただきます。
※全身麻酔を受けられるご予定がある場合は生ワクチン3週間以上、不活化ワクチン2日以上前までに済ませてください。

帯状疱疹後神経痛

  • 帯状疱疹の皮膚部分は治癒したにもかかわらず帯状疱疹の時の痛みだけ残ってしまう後遺症が、帯状疱疹後神経痛です。
  • 若いうちは神経の修復も早いのですが、高齢になって帯状疱疹で神経に傷がつくとなかなか治癒せず、痛みだけがいつまでも残り、日常生活も困難になるほど苦しんでしまう方が多くおられます。
    帯状疱疹の皮膚症状と違い、帯状疱疹後神経痛には万人に当てはまる絶対的な治療法がないため、多くの方が大変な苦労をされています。
  • 帯状疱疹は有名ですが、その後の帯状疱疹後神経痛をご存知の方はまだまだ少ないようです。
  • この機会にワクチン接種をおすすめいたします。
    お気軽にお問い合わせください。

単純疱疹(ヘルペス)

ヘルペス(疱疹)とは小さいみずぶくれが集った急性炎症性皮膚疾患のことです。
*ヘルペス=ギリシャ語で「這う」という意味です。

症状

唇や口周りに症状があらわれ、痛痒い水ぶくれやかさぶたなどができます。

原因

単純ヘルペスウイルスによる感染症で、風邪や疲労、胃腸障害やストレス、紫外線や外傷などによる体力低下や免疫機能低下したときに症状があらわれます。

単純ヘルペスウイルスは感染力が非常に強く、ウイルスが繁殖している水ぶくれに触れたり、唾液が付くことにより感染します。
赤ちゃんが感染した場合、脳に致命的なダメージを与えることがあるので注意が必要です。

治療

外用薬(軟膏)

アシクロビル、ビダラビンなど

内服薬

アシクロビル、塩酸バラシクロビルなど神経細胞内のウイルスの増殖を抑える効果があります。

口内炎

さまざまな種類の口内炎がありますが、一番多いのがアフタ(*)性口内炎です。
口腔内のあらゆる場所に発症します。歯茎や頬の内側、舌や唇、上あごや、稀に扁桃腺付近にも発症します。

*アフタ
皮膚粘膜表面が灰色から黄白色に変色した膜に覆われた5mm~6mm以下の大きさの潰瘍のことです。

原因

細菌による炎症が主な原因で、口の中や舌を自分でうっかり噛んでしまったり、噛み合わせなどで傷ができると、その患部に細菌が入り込むことで発症します。
口腔内の粘膜が弱っていたり、鉄分やビタミンなどの栄養不足、ストレスや睡眠不足などがあると発症しやすくなります。
口腔内のあらゆる場所に発症します。歯茎や頬の内側、舌や唇、上あごや、稀に扁桃腺付近にも発症します。
多くの数ができる、頻繁に繰り返す、といった場合には全身疾患の一症状が疑われますので、この場合は詳しく検査する必要があります。

治療

口の中を清潔にし、口腔内用のステロイド外用剤や、貼付剤で治療します。

円形脱毛症

円形脱毛症は、誰でも発症する可能性のある病気です。10円玉くらいの大きさの円形の単発型~多発型、全頭型、汎発型までタイプはさまざまで、中には脱毛範囲が全身に及んでしまうこともあります。自覚症状は無く、境目がはっきりわかる脱毛があらわれ、だんだん大きくなります。
部分的に急にまとめて抜けしまうことも特徴的です。

原因

はっきりとわかっていませんが、遺伝的要因と自己免疫が大きく関わるのではないかと考えられています。
ストレスが原因ともいわれていますが、幅広い年齢の方に発症することから、きっかけの一つにはなり得ますが、主な原因ではありません。

治療

原因がはっきりしないため、根本療法は確立されておらず、対処療法となります。

外用薬

ステロイド外用 など

内服薬

ステロイド内服、抗ヒスタミン薬、漢方薬

尋常性白斑

尋常性白斑とは皮膚の基底層に分布する、紫外線から皮膚を守るためにメラニン色素を産生する、メラノサイト(色素細胞)が何らかの原因で減少・消失し皮膚の色が白く抜けてしまう後天性の病気です。

原因

メラノサイト(色素細胞)が消失する原因は明らかにされていませんが、

  • メラノサイト(色素細胞)に対する自己抗体ができて色素細胞を攻撃するために消失するという説
  • 神経の異常が原因であるという説
  • 皮膚での活性酸素を除去する機能が低下して色素細胞が壊れるという説などがあります。

症状

生後数年から数十年後に、皮膚の色が部分的に抜けて白くなります。白くなる部分は大小さまざまで、徐々に拡大したり、別の皮膚の部分でも色が抜けることがあります。頭部では、白斑になった部分に白髪ができることもあります。

  • 分節型・・・体の左右どちらか片側にのみ症状が出るタイプ
  • 汎発型・・・体の両側に出るタイプ
  • 限局型・・・皮膚の一部分だけに出るタイプ

治療

  • 外用薬・・・ステロイド薬、ビタミンD3、タクロリムス など
  • 紫外線療法・・・UVB(中波長)のごく狭い周波数の紫外線だけを照射するナローバンド

UVB療法や、エキシマライトが、よい効果を示すことがわかってきました。

紫外線療法(中波紫外線療法:ナローバンドUVB)について詳しくはこちら

尋常性乾癬

尋常性乾癬イメージ

銀白色の鱗屑(皮膚の粉)をともなって、境界が明瞭な盛り上がった紅斑が全身に出る症状で、乾癬の患者さんの約90%がこの症状です。形や大きさ、数は様々で、発疹が癒合し大きな病変を作ることもあります。紅斑が出来やすい部位は、機械的な刺激を慢性的に受けやすい頭部、肘・膝、臀部、下腿伸側などです。かゆみは約半数の患者さんにみられ、爪の変形や関節炎を伴うこともあります。

原因

まだ完全に解明されていませんが、乾癬になりやすい遺伝的素因があることが解っています。遺伝的素因に、様々な環境因子 (不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤など)が加わると発症すると言われています。

かゆみ

尋常性乾癬の発疹はしばしばかゆみをともないます。特に入浴や、アルコールや香辛料の強い食事など、身体が温まることでかゆみが起きることがあります。
かゆみはかいたり、こすったりと刺激のもとになりますから、かゆみをともなう場合は、かゆみ止めの薬をのみます。
尋常性乾癬の場合、かゆいといっても程度はそれほど強くないことが普通です。
あまりかゆみが強い場合は、別な皮膚病の可能性も考えられますので、皮フ科専門医に相談してください。

尋常性乾癬の治療は外用療法、内服療法、紫外線療法、抗体療法の4つが主なものとなります。
当クリニックでは治療法を選択する場合、病気の性質が慢性であることから、治療効果と副作用(短期的なものも長期的なものも含めて)のバランスのもとに選択いたします。
※複数の療法を組み合わせることもあります。

紫外線療法

紫外線療法には様々な種類がありますが、近年、波長が311 nm付近の極めて狭い範囲の紫外線が乾癬に有効であることがわかってきました。
これがナローバンドUVBといわれるもので、従来のPUVA療法ではソラレンの内服や外用薬の併用が必要で、薬剤アレルギーや肝障害の患者さんには行えませんでしたが、ナローバンドUVBは内服薬や外用薬を使用しないで治療が行えます。
照射時間も短く、通常、週に2、3回の頻度で照射を行います。

紫外線療法(中波紫外線療法:ナローバンドUVB)について詳しくはこちら

掌蹠膿疱症

ウミが溜まった膿疱(のうほう)と呼ばれる発疹が手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に数多くみられる病気です。
周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返し、足と手のほかにスネや膝にも発疹が出ることがあります。
発疹は小さな水ぶくれが出来て、次第に膿疱に変化します。その後かさぶたとなり、角層がはげ落ちます。症状の出始めでは、かゆみを伴うことが多く、また、鎖骨や胸の中央やその他の関節が痛くなることがあります。
足の発疹は水虫によく似ていますので、診断をはっきりさせるために皮膚表面の角層を一部取り、 顕微鏡で調べて、水虫を起こすカビ(白癬菌)がいるかどうか調べる必要があります。

掌蹠膿疱症の膿疱は、無菌性ですので、他人への感染の心配はありません。

原因

多くの場合原因は不明ですが、およそ3割は慢性化膿性病巣が原因になっていると考えられます。

慢性化膿性病巣・・細菌による感染が慢性的に存在する場所のことです。この場合、慢性扁桃腺炎、歯槽膿漏、蓄膿症、中耳炎などと掌蹠膿疱症が同時に悪化したり、発症の兆しとして掌蹠膿疱症になったりすることがあります。

金属アレルギーが掌蹠膿疱症の原因になるとも言われていますが、まだはっきりとは分かっていません。
掌蹠膿疱症を発症された方に喫煙者が多く、禁煙が著効します。

治療法

掌蹠膿疱症は細菌やウイルスが原因ではないので、抗生物質や抗真菌剤では効果がありません。主な治療法は対症療法で炎症を抑えることです。 症状の程度により変化しますが、まずはステロイド剤やビタミンD3軟膏で炎症を抑制します。
外用薬のみでは効果が見られない場合には、内服薬で治療を進めていきます。
外用療法や内服薬で、症状が改善しない場合にはエキシマライトなどの光線治療が有効な場合もあります。

治療前画像
治療前
治療後画像
治療後
  • 施術回数:約10回
  • 費用の目安:3割負担の方で1回あたりが1,020円の負担額になります。

リスクについて

  • 治療後に照射部が赤くなることがあります。
  • 1クール平均十数回の治療では改善が見られない場合があります。
  • 光線過敏を有する方は治療が行えません。
エキシマライトについて詳しくはこちら

太田母斑・ADM

太田母斑

太田母斑画像

太田母斑とは、通常のしみより皮膚の深いところに目のまわりやこめかみ周囲に出現する青アザです。
真皮内にあるメラニンが原因で、早いと1才くらいから出現します。

両側性遅発性太田母斑様色素斑(ADM)

両側性遅発性太田母斑様色素斑(ADM)画像

両側=両頬にできる 遅発性=大人になってから 太田母斑様=太田母斑のような 色素斑=しみ
真皮内にあるメラニンが原因で、20歳くらいから出現し、褐色~灰色っぽい小色素斑が 目の下~外眼部やこめかみに散在します。

治療

しみではなく皮膚の深いところにある真皮内に原因があるアザですので、通常のしみ治療では効果がありません。

レーザー治療が効果的です
アレキサンドライトレーザ画像

アレキサンドライトレーザ
(皮膚良性色素性疾患治療用レーザー装置)

当クリニックではアレキサンドライトレーザ(皮膚良性色素性疾患治療用レーザー装置)による治療を行っています。
太田母斑は保険適応です。

アレキサンドライトレーザ(皮膚良性色素性疾患治療用レーザー装置) 詳細はこちら

原発性腋窩多汗症

過剰なワキ汗に半年以上、悩まされている人は、脇の下に異常な汗をかく病気「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」かもしれません。

原発性腋窩多汗症とは

特別な原因となる病気がないのに、脇の下の発汗が週1回以上起こり、日常生活に不便を感じる症状です。
男女の比率はほぼ同等で、思春期から中年世代までの社会的活動が盛んな年代の多くの方がこの症状で悩んでいらっしゃいます。
2012年から重症と診断された方は病院で、わき汗治療を保険適用で行なうことができるようになりました。
※診察を受けていただき、診断基準を満たす方のみが保険適応の対象となりますので、ご了承ください。

ボツリヌス菌による治療

ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌がつくる天然のタンパク質から精製された薬を脇の下に直接注射することにより、交感神経から汗腺への刺激の伝達をブロックし、発汗を抑えます。
1回注射すると4~9か月持続するので、年1~2回の治療で汗を抑えることができます。
5~10分程度のお注射で終わります。

ボツリヌス療法は安心して受けていただけます

これまで、まぶたや顔面けいれん、肩や首の筋肉の張りによる異常姿勢、脳卒中に由来する手足のつっぱりの治療としても使われてきた薬です。安心して受けていただける効果の高いワキ汗の治療法です。

健康保険適用の場合、初診の診察時に注射をすることはできません。診察のあとで注射剤を取り寄せることになります。
お急ぎの場合、自費診療のボツリヌス療法用の注射剤を在庫しておりますので、診察後すぐに注射することが可能です。